耳と目の機能低下(発育調査結果)と学習能力の関係
目次
児童健康・発育状態調査結果より、目と耳の健康状態について
以下は、文部科学省が発表した、全国の5歳〜17歳の発育・健康状態です。
【発育状態調査】(1)身長の平均値の推移は,平成6年から13年度あたりをピークに,その後横ばい傾向である。(2)体重の平均値の推移は,平成10年から18年度あたりをピークに,その後減少傾向がうかがえる。(3)肥満傾向児の出現率の推移は,平成18年度以降減少傾向にあったが,23年度以降はほぼ横ばいである。
【健康状態調査】(1)むし歯に関しては,ピーク時(昭和40~50年代)より減少傾向が続いている。(2)アトピー性皮膚炎に関しては,5歳で過去最低である。(3)裸眼視力が1.0未満の者は増加傾向にある。
身長・体重の伸びは横ばい、肥満児もピークと下げ止まりは過ぎ、虫歯もアトピーも減少。
では、何が問題かというと視力低下です。
見ておわかりの通り、どの年代も徐々に増えつつ、年によっては減少もしていますが、
問題はより低年齢化にその問題が発展していっていることかと思われます。
視力低下は、遺伝か習慣か
以下は、視力についての詳細報告です。
「裸眼視力」
①平成26年度の「裸眼視力1.0未満の者」の割合は,幼稚園26.53%,小学校30.16%,中学校53.04%,高等学校62.89%となっており,前年度と比較すると,幼稚園及び中学校で増加,小学校及び高等学校で減少している。また,「裸眼視力0.3未満の者」の割合は,幼稚園0.97%,小学校8.14%,中学校24.97%,高等学校35.84%となっており,前年度と比較すると,幼稚園及び高等学校で増加,小学校及び中学校で減少している。②視力非矯正者(眼鏡やコンタクトレンズを使用していない者)のうち,「裸眼視力0.7未満の者」の割合は,幼稚園8.23%,小学校12.25%,中学校16.47%,高等学校16.94%となっており,前年度と比較すると,幼稚園及び小学校で増加,中学校及び高等学校で減少している。
年々微妙な上下を繰り返していますが、昭和54年とその数値を比べましょう。
今の小中高生の親は、ちょうどこのあたりの年代でしょうか。
「視力低下は遺伝だから仕方ない」
よくそう言われますが、本当にそうでしょうか。
遺伝ならば、自分のおじいさんや、そのおじいさん、
そのまたおじいさんくらいまで遡ってみましょう。
メガネをかけていましたかね。
現代ほどメガネ率は多かったでしょうか?
勿論、弱視など本当に遺伝的な問題を抱えた人もいるかと思います。
でも現代の低視力化の大多数は後天的な近視です。
実際に視力で遺伝(関係)しているのは、目に悪い習慣ということです。
ゲームなどがない昔ならば、勉強を頑張った人、あるいは読書が好きだった人。
外で遊ぶよりも、暗い所で小さな手元の仕事ばかりをしていた人などは
どうしても目が疲れやすいので、視力も落ちていったでしょう。
そして、そういう親の子供は、やっぱり同じような目の使い方をし
同じように目が悪くなる。
遺伝とはそういうことなのではないかと思います。
発育調査における、耳の疾患
次に、耳の問題にも触れておきましょう。
今は「中耳炎」にかかりやすいお子さんが増えているようです。
実際、同級生でもスイミングに通っている子などは
何度も中耳炎になっては治り、を繰り返しているようです。
平成26年度の「耳疾患」(中耳炎,内耳炎,外耳炎等)の者の割合は、
幼稚園2.27%,小学校5.70%,中学校4.00%,高等学校2.05%となっており、
前年度と比べると,幼稚園と高等学校で減少しているが、
小学校と中学校では増加し,それぞれ過去最高となっている。
中耳炎を繰り返すよりは、スイミングをお休みして
しっかりと治し、慢性化させないことが重要です。
場合によってはやめるという選択肢も。
ただ、習い事って、やめるタイミングが難しいんですよね。
お子さんのやる気や成績などにも関係してきますし。
ただ、耳は本人以外は気付きにくく、
また本人も聞こえにくくなっていてもよくわかっていないケースが多いです。
そして、聞こえないまま放っておくとどうなるか?
もちろん日常生活にも関係してきます。
子供の場合には、友人関係や、そして学習能力にも。
勉強に集中できないのは、視力低下と耳鼻疾患のせい?
耳は鼻と通じ、そして鼻がつまると頭がぼんやりして脳への影響も大きい。
目・耳・鼻という、五感のうちの大切な三つの能力が、
徐々に落ちていっているということですね。
「こどもが勉強に集中出来ていない」と嘆く親御さんは多いですが、
目・鼻・耳に異常はないか、一度再確認した方がいいかもしれません。
勉強とは脳を働かせるものですよね。
でも、目や鼻・耳が悪くなると、
目や鼻・耳を通して脳に届く、それらの刺激が弱まります。
刺激が弱まるということは、反応が鈍くなるということ。
反応が鈍いとは、正常者と比べてハンデがあるということ。
視力の話においては
「視力低下=学習能力低下」に繋がるのがわかりますね。
だから、見えない目でいるよりは
メガネで矯正した方が断然良いです。
それ以外にも、目を細めることで乱視になってしまう危険性もありますし。
視力矯正への抵抗
ですが実際には、眼鏡はつけたくないと無理をしているケースも多いようです。
小学校の同級生にも、何人かそういうお子さんがいます。
授業中だけ眼鏡をかけているという子もいます。
先のデータを見ると、0.7以下なのに矯正していない率が結構高いんです。
これは気付いていないのか、かけさせたくないのか。
特に、幼稚園生の上昇がすごい。
眼鏡をつけると、その子の生命力(オーラ)が弱まるように感じます。
我が子も、そして同級生もそうでした。
(稀に、メガネをかけるとオーラが上がる人もいるかもしれませんが)
でも、見えないまま放っておくと、もっと大変なことになります。
もちろん良い視力をキープ出来るのが最善です。
でも低下してしまったのなら、落ち切ってしまう前に早目の対策をとりましょう。
視力回復習慣と学習習慣とのジレンマ
視力回復は、初期なら割合簡単ですが、
その後に視力を低下させない習慣を続けないとならず、
それが、かなり難しい。
そして高学年になっていくと、より難しくなります。
目に良い習慣の徹底は、親の断固たる態度と
子供の教育・しつけの再確認が重要になってきます。
勉強はやらせなくてはいけない。
でも、視力は落としたくない。
子供は目に悪いゲームばかりやりたがる。
視力回復をさせるための時間がない。
ジレンマの連続ですね。
でも親がやるしかないのです。
頑張りましょう〜。
* 文中の参考資料・テキストは 文部科学省サイトより。